2021年度 グッドデザイン賞 メガネ・サングラス関連の受賞結果まとめ- GLAFAS(グラファス)

2021年度 グッドデザイン賞 メガネ・サングラス関連の受賞結果まとめ

2021年度 グッドデザイン賞 メガネ・サングラス関連の受賞結果まとめ

© JDP GOOD DESIGN AWARD

公益財団法人日本デザイン振興会は10月20日(水)、2021年度グッドデザイン賞の受賞結果を発表した。

2021年度は、過去最多となった5,835件の審査件数の中から、こちらも過去最多の1,608件が「グッドデザイン賞」を受賞。この中には、独自性、審美性、完成度などの面で特に優れ、これからのモデルとなるデザインに贈られる「グッドデザイン・ベスト100」の100件も含まれる。

あわせて、長年にわたり支持され続けてきた商品などのデザインに贈られる「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」22件も発表された。

「グッドデザイン賞」の受賞対象の中から、メガネ関連のものをまとめて紹介する。


眼鏡 [Y2製作キット]
ワンオフ工房

眼鏡 [Y2製作キット]

© JDP GOOD DESIGN AWARD

概要

眼鏡店が製作する眼鏡キット

デザインのポイント

1.製作が簡単でレンズサイズや形状、そして左右のレンズ間隔が任意に調整できる。
2.レンズの全周をテグスで覆ったフルナイロール構造の為、レンズに優しく歪も少ない。
3.フレーム素材はベータチタンでムクでも錆びない。テグスは経年劣化に強いフロロカーボンを使用。

デザイナー

兵井伊佐男

背景

眼鏡にとって一番大切なものはレンズです。「そのレンズを目の前の適当な位置に適当な大きさで配置できればフレームは無くたって良い」そういった視点でY2は完成させました。レンズの形や大きさ、さらに左右のレンズの間隔も調整できる眼鏡としてワンオフ工房では特注製作も行っております。お客様情報が届いてリモートで作っていますが、リモート製作には限界があります。お客様の悩みや望みにしっかり寄り添うことができるのはお店の販売員だけですので販売員の方が直接お客様に向き合って作れたらどんなに素晴らしいだろうとずっと考えてまいりました。その想いを込めて、販売店向けのY2製作キットをリリースしました。

経緯とその結果

先ず、レンズを支えるリムを無くしてレンズ全周をテグスで覆うフルナイロール構造にしました。テグスの始点、終点と中間点の三点をフレームに掛止することでレンズを安定して固定することができます。この構造はテグスの長さを調整するだけでレンズの大きさや形を自由にできます。また、フレームは極薄のベータチタンプレートを折り曲げて成形していますが、この折り曲げ角度を調整することで左右のレンズ間ディスタンス(PD)を調整できます。少し器用な人ならば売り場でも調整可能です。左右の目が離れていたり狭かったりでしかも強度の度数や斜視といったマイノリティユーザーに小売の現場で対応できる眼鏡がようやく完成しました。製作も容易ですので将来は世界中のお困りユーザーに奉仕できる眼鏡に育つことを願っています。

審査委員の評価

細く繊細なフレームは極薄のチタンプレートから切り出され、工芸品のような精密な折り曲げ工程を経て立体になり、軽やかに顔の中心でレンズを支える。その造形力、設計力も高く評価につながったが、詳しく本製品の提案を理解すると、眼鏡の要であるレンズへの深いリスペクトと、フィッティングへの追求が生み出した形であることに納得ができた。フレームに合わせてレンズを加工する従来の方法に対して、本製品はレンズに合わせてフレームを加工するという、至極真っ当な製品作りの姿勢を評価したい。

詳細情報

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スポーツサングラス [スペック エスパス ES-1991]
有限会社オプト.デュオ

スポーツサングラス [スペック エスパス ES-1991]

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概要

コロナ禍で健康志向が高まる中、屋外スポーツやキャンプ等の嗜好が増えている。しかし太陽光紫外線の有害性が指摘されている。特にシニア層(40代~60代)が安心・快適に使えて目を保護できるよう、鯖江の眼鏡産地の技術・ノウハウにより実現した機能性(快適なかけ心地、遮光レンズ機能、省部品化)が特徴のスポーツサングラスを開発した。

デザインのポイント

1.レンズ枠とアーム部を独立させた構造で、運動時の視界の歪みが起こりにくいフィッティングを実現した。
2.弾性βチタンを用いて、頭部左右静脈を圧迫しない設計により、屋外運動時に快適に長時間装着できる。
3.シニアが安心、快適に屋外で使用できUVカット率99%の遮光レンズで目を太陽光から保護しストレスを軽減

プロデューサー

有限会社オプト.デュオ 代表取締役 山岸誉

ディレクター

有限会社オプト.デュオ ディレクター 毛利勝博

デザイナー

有限会社オプト.デュオ デザイナー 齊藤健志

背景

新型コロナウイルスの流行が続き、自粛生活により人々の間で高まるストレスをいかに解消していくかが求められている。その方策の一つとして、スポーツやアウトドアなどの屋外レジャー活動によるストレスフリー志向があり、そういったユーザーが快適に使える商品へのニーズが高まっている。屋外での活動はストレスを軽減する一方、眼に有害な紫外線が蓄積することが白内障や黄斑変性症の原因になることが指摘されており、特に年齢の高い層は対策が必要である。また、外出自粛等を起因とする社会経済の変化が従来の眼鏡の流通や鯖江産地に影響を及ぼしている。この状況に対応するため、今までのB to Bの流通に依存しない新たな市場を開拓する必要がある。そこでコロナ禍において高まるアウトドア志向のシニア層に直に向き合い、目を保護する本来の眼鏡の意義を果たすユーザーフレンドリーな商品を開発した。

経緯とその結果

機能性やスタイル面で従来の眼鏡フレームとは全く異なる発想により、ユーザーが快適に長く使える新たな製品を作る、という原点と鯖江産地の技術力、ノウハウを結集・融合させたスポーツサングラスを企画した。ヒンジレスといった特異性のあるスタイルと、頭部締め付けによる痛さやストレスを感じない、かつ安定した装着性を、再現性の高い超弾性βチタン合金と医療用具にも使われ肌に優しいエラストマ樹脂の融合により提案している。多彩なナイロン系樹脂製のフロントパーツを用いることで、単なる工業デザインだけではない、モダンアートとしての眼鏡の側面も持たせ、幅広い年齢層のユーザーの満足度も高める工夫を凝らしている。屋外でのスポーツ、レジャーでの使用を想定し、視界の歪みが起こりにくいようにフロント部のサイドを開放してレンズ面を独立させた状態でフラットに保たせ、かつフロント部分で太陽光を遮光する機能も確保している。

審査委員の評価

健康志向やアウトドア志向が高まる中で生まれた新しいニーズやマーケットが深く丁寧に分析され、抽出された課題に対して新しい発想を持って製品提案がなされている点が素晴らしい。また、この製品が開発される過程で地場産業の経験や技術が大いに活かされ、それによって独自性を持つ製品が生まれたというストーリーも高く評価された。

詳細情報

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アウトドア用サングラス [スワンズ デネブ]
山本光学株式会社

アウトドア用サングラス [スワンズ デネブ]

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概要

SWANS Denebは、究極の軽さとフィット感を追求した、大人のレジャー用スポーツサングラスです。 素材、形状、製法を見直し、フレーム重量1.6g、総重量9.3gという圧倒的な軽さの実現に成功しました。 柔軟で肌に吸い付くような掛け心地は、“裸眼のようにストレスフリー“で「快適なフィット感」を提供します。

デザインのポイント

1.フレーム素材にPEEKを採用/フレームの細さに最適な剛性で、柔軟性の確保と軽量化の両立に成功した。
2.3Dプリンタ製の鼻パッド/僅か0.03gで、クッション性のある独自構造が快適なフィット感を生み出す。
3.独自の薄型レンズ/屈折を最小限に抑え、強度を保ちつつサングラスとして優れた光学性能を実現した。

プロデューサー

山本光学株式会社 代表取締役 山本直之

ディレクター

山本光学株式会社 スワンズクリエイティブセンター 富永浩史

デザイナー

山本光学株式会社 技術開発部DP開発課 浅田真孝

背景

眼の健康と安全を確保するためにサングラスを使用することが有効である事は広く認知されている。 しかし、サングラスの装着感に“違和感“を感じるユーザーは一定数存在しており、装着する事をやめてしまう問題がある。 その“違和感“の原因は、サングラスの重量と、身体に馴染まない形状が生み出す“不快なフィット感“である。 それらを解決することで、まるで裸眼のように快適なサングラスライフを提供することを目的として開発をスタートした。 SWANS Denebは、サングラスを装着していることを忘れてしまうくらいの「究極の軽さ」と「快適なフィット感」を生み出すことに特化してデザインされており、重量の原因となる塗料までも排除し、職人の手仕上げで作られている。 徹底的な軽量化は、製品に使用する樹脂の総量を減らし環境負荷の高い塗装も行わない、サスティナブルな社会に順応したプロダクトとしての存在価値も有している。

経緯とその結果

SWANS Denebは「究極の軽さ」と「快適なフィット感」を実現する為に、サングラスを構成する全ての材料と製法を見直しデザインされている。 PEEK樹脂製のフレームは僅か1.6gで、かつて無いほどに軽く繊細でありながら、フレームデザインと一体化した樹脂のボリュームコントロールによって、スポーツサングラス特有の安定感のある装着感を実現。わずかでも重量増加の原因となる塗装までも排除し、手作業によるヘアライン仕上げで加飾する事で「究極の軽さ」と質感表現の両立を実現した。 3Dプリンタで製造される0.03gの鼻パッドは、独自の3次元構造が優れたクッション性を生み出している。鼻パッドのクッション性とフレームのバネ性を利用し、鼻幅が調整不要であらゆる人々の顔面形状にふわりと吸い付くようにフィットするようデザインされており、空気のように軽く裸眼のような「快適なフィット感」を生み出すことに成功した。

審査委員の評価

一般製品の素材としてはほとんど馴染みのないPEEK (エンジニアリングプラスチック)の採用や、3Dプリンタで作られた0.03gのノーズパッド、専用特殊ネジの新規開発など、これぞ日本製品ともいえる技術が結集した製品である。実際にかけてみると非常に軽く、また大きく視界を覆うレンズであることから、サングラスをはめていることを忘れてしまうほどの掛け心地である。提案の通り「究極の軽さ」と「快適なフィット感」は10gを切っているという数字以上に実感できる。クラウドファンディングで発売された本製品は車で言えばF1のようなもの。今後ここで提案された価値が一般向けの商品でも展開されることを期待したい。

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