訪問販売のメガネ店 めがねのクラモトに業務停止命令- GLAFAS(グラファス)

訪問販売のメガネ店 めがねのクラモトに業務停止命令

訪問販売のメガネ店 めがねのクラモトに業務停止命令

めがねのクラモト ホームページ(スクリーンショット)

経済産業省 四国経済産業局および愛媛県は、メガネなどの訪問販売を行っている株式会社クラモト(山口県下関市、以下めがねのクラモト)に対し、特定商取引法第8条第1項の規定に基づき、2月10日(金)から8月9日(木)までの6ヶ月間、訪問販売に関する業務の一部(新規の勧誘、申込の受付及び契約締結)を停止するよう命じた。

ニュースリリースによると、消費者宅を訪問した際、視力測定を行う前に、メガネを販売するという勧誘目的を告げなければならないにもかかわらず、視力検査だけをおこなうことを告げて、視力検査車に誘導。視力測定後に、「メガネを作りましょう」などと告げ、販売したことが、特定商取引法第8条第1項に違反しているとされたという。

【2012年3月28日:追記】

業務の一部停止命令を受けて以降、信用が低下。販売が激減し、新規融資も受けられなくなったことで、3月25日(日)に従業員530人全員を解雇し、破産申請の準備に入った。

勧誘はどのようにおこなわれたのか?

(写真1)めがねのクラモトの視力測定車の内部。「測定機器など常に正常に安定して動作するように独自開発した電源設備をはじめ、店舗と同様の一連作業が行える最新コンピューター設備」が整っているという。

(写真1)めがねのクラモトの視力測定車の内部。「測定機器など常に正常に安定して動作するように独自開発した電源設備をはじめ、店舗と同様の一連作業が行える最新コンピューター設備」が整っているという。

(出典)http://meganenokuramoto.com/business2.html

経済産業省 四国経済産業局が発表した 株式会社クラモトに対する行政処分の概要 (PDF形式:343KB) には、めがねのクラモトが訪問販売した際の事例がいくつか挙げられている。

これらの事例を読むと、めがねのクラモトがおこなっていた訪問販売の実態が見えてくる。

事例1

平成23年2月、4時前頃に消費者Aが玄関前で作業をしていると、同社の女性従業員Sが来て、眼鏡屋だと告げた。

Aは、目はよく見えているし、眼鏡を使ったりはしていないので、「眼鏡は、いらんよ。」とはっきり断ったが、Sは「目の検査は、5、6分で終わるから。」、「そこのお宅で眼鏡を直しているので、済んだらまた来ます。」等と独り言のように言って出て行った。

10分ほどして、Aは、自宅に小さなバスのような白い車が入ってくるのを見て驚いた。

普通の車だったため、中で眼鏡を販売したり、検査したりする車だとはその時は分からなかった。

Sは「目の検査はちょっとだから。検査は5、6分だから。」等と、目の検査をするために車の中に入るようにとAを誘った。

Aは「しなくてもいい。」とはっきり断ったが、Sから「せっかく来たんやから、やりやり。」、「視力検査は5、6分だから。」等とさらに勧められ、また、車に乗っていた男性従業員Tからも大きな声で「検査をせないけん。」等と言われ、Aは断り切れなくなり、5、6分で終わるのならと思い車に乗ることにした。

この時もSからは検査のことばかり言われていたので、Aは検査をした後、眼鏡の勧誘を受けるなどとは思いもしなかった。

Aが車に入ると、スライド式になったドアが閉められた。車の中には、SとTのほか運転席に男性がもう一人いたが、客はA一人であった。

また、車の中には、目を検査する機械があったが、眼鏡のフレームは並んでいなかった。

Aは、目を検査する機械の奥の座席に座るよう勧められ、座ったところ、開閉式のカウンター板のようなものが倒されたため、席を立てない状態になった。

また、Sが入口のドア付近の椅子に座っていたため出口はふさがれ、Aは車から出ようにも出られない状態になった。

目の検査は5、6分程度で終わったが、Tは検査が終わると突然、眼鏡のフレームを出してきて、「これはいくら。これはいくら。」等と眼鏡の購入を勧めだした。Aは、「眼鏡は、いらない。」とはっきり断ったが、Tは「目のためにも良い。」等と言って勧めた。

さらにAが「見える方だし。お金もないし。」等と告げると、Tは「我慢したら目のためにいけない。我慢なんかするもんじゃない。」等と執拗に勧めてきた。

あまりにもしつこく勧誘されたため、Aが「家族の若い者が日曜日には帰るから相談する。」と言うと、Tは「今日注文取らんといかん。」「今日はみんなの注文をたくさん受けて帰っているので、一週間したらそれができあがる。」「一緒が都合が良い。今日決めた方が良い。」等と執拗に勧誘を続け、Aがどのような断り文句を言っても、Tは眼鏡を買うようにの一点張りだった。

Aはカウンターが閉まっていて席を立つこともできず、狭い車内には従業員が3人もいて、取り囲まれた状態で、帰りたいと言い出すことも、車から出してもらうこともできなかった。

Aは怖くてつらくなり、「買わないと車から出してもらえない。もうしようがない。」と考え、眼鏡を買うことにした。

眼鏡を買うことに決めると、注文書に必要事項を記入するように言われ、申込日、氏名等をAが記入し、金額等はTが記入した書類を渡された。

夕方4時くらいに車に入り、Aが車から降りることができたのは5時の時報が鳴った後であった。

http://www.shikoku.meti.go.jp/soshiki/skh_b6/1_sesaku/120209/120209.pdf

事例2

平成23年2月、消費者B宅に同社の従業員Vが訪れた。Vは、「この付近に来たので、寄らせていただきました。」と言って名刺を出した。

Bは7年ほど前と3年ほど前の2回、同社で眼鏡のレンズ交換をしたことがあったが、この時は特に眼鏡に不自由していなかったことからVに「眼鏡は、いりませんよ。」と告げた。

Vが「眼鏡の点検や掃除をしますので車に乗ってください。目の検査もしてみましょう。」と言うので、BはVに使っている眼鏡を渡し、目の検査をするだけならと思い、Bの敷地内に駐車していた同社の車に乗った。

同車内で目の検査をした後、Vは「老眼が進んでいます。新しい眼鏡に替えませんか。老眼と近視の2本が必要ですよ。」等と言い、眼鏡の買い替えを勧めた。

Bは今使っている眼鏡で不自由していないし、新しい眼鏡は全く必要なかったので「必要ありませんし、いりません。」等と何度も断ったが、Vは諦めずに眼鏡が必要だということを延々と説明し勧誘を続けた。

高圧的な言動はなかったが、車から出られるような雰囲気ではなかった。

車に乗ってから3時間ほど経過した頃、VがBの使っていた眼鏡について「持って帰って眼鏡を合わしてきます。眼鏡は2個持って来ますから。」と言って、強引にBの眼鏡を持ち帰った。

Vに眼鏡を持って帰られたBは、新聞等を見るのに苦労していたため、Vに電話をかけ、「持って帰った眼鏡を早く返してください。字が見えないので困ります。」と伝えたところ、Vは「分かりました。眼鏡は分解していますが、レンズ交換はせずにお返しに行きます。」と答えた。

しかし、すぐに返してもらえなかったので、BはVに、何度も催促し、ようやく数日後、VはBの眼鏡を返しに来た。この間、BはVに対し、「眼鏡は、いりませんから。注文していませんからね。」と眼鏡についても注文していないと念押ししたが、Vは何も言わなかった。

それから一週間ぐらい経った昼過ぎ、Vが新しい眼鏡を持ってB宅を訪れた。VはBを車に乗せ、眼鏡の値段が記された書類をBに見せた。

Bは「いりませんので、持って帰ってください。」と言ったが、Vは「かけてみてください。」「よく見えますよ。」等と告げて帰ろうとしなかったため、Bが眼鏡をかけてみたところ、目に合っておらず、涙が出るような感じがした。

Bが「目に全然合っていません。いりませんので持って帰ってください。」と何度言っても、Vは「使っていると目が慣れてきます。」と言って、眼鏡を受け取ろうともしなかった。

さらに、Bが「持って帰ってください。」と言うとVは黙り込んでしまい返事もしなかった。

こうした問答や状態が1時間ほど続いたが、それでも眼鏡を持って帰ろうとしないVに困ったBが、「こんな高い眼鏡や支払いできません。」と言うと、Vが「いくらくらいなら払えますか。」と言い、Bは話の流れで「2万円なら払えます。」と言ってしまった。

Vがいくら断っても帰ってくれず、Bは買うことにしなければVが帰ってくれないのではと思った。

最後は、Bが根負けした状態になり、仕方なく必要のない眼鏡を買うことになった。

http://www.shikoku.meti.go.jp/soshiki/skh_b6/1_sesaku/120209/120209.pdf

事例3

平成23年5月、午後4時頃、同社の女性従業員Wが消費者C宅を訪れ、Cの妻Dに「眼鏡があるんやったら見てあげる。」と言った。

Wは、同日昼頃にもC宅を訪問し、Dに同様のことを告げていたが、Dは「眼鏡の用事はありません。」と断っていた。

Wがしつこく眼鏡を見てあげると言うため、Cの眼鏡のネジが緩んでいることを知っていたDは、Cに「眼鏡を見てくれると言うて来てなさるが、見てもらうかね。どないするが。」と言った。

Cは、フレームのねじが緩んでいたので見てもらうことにし、DがWに「おじいさんの眼鏡が壊れとるから、見てください。」と言った。

この時Wは「眼鏡はいかがですか。」とか「眼鏡を作りませんか。」等と眼鏡を勧めるようなことは言わなかった。

WはCに、壊れている眼鏡を見てあげるから車に乗るように言い、車のドアを開けて、車の中に入るように言った。

Wが車のドアを開けるまで、Cには車の中の様子が分からなかった。

車の中には50代ぐらいの女性従業員Xが一人座っており、XはCに向かって「ちょっと中に入ってください。無料で目の検査をしてあげよ。」と言った。

Cは無料で目の検査をしてくれるのであればと思い車に乗った。

検査を受ける前に、検査の結果によっては、新しい眼鏡を勧めることがある等とは全く言われていなかった。

検査中に目の調子等を聞かれ、近々免許証の更新があることを話した。検査は10~15分で終わった。

検査中、車の中のカーテンは閉められていた。

検査が終わるとXは、「検査の結果、大分、目が悪くなっている、年だから良い眼鏡をかけないと、免許証の更新の時の検査に通らない。」等と言いながら、「この眼鏡が合う。」といきなり4万円の眼鏡を勧めた。

新しい眼鏡を勧められると思っていなかったCは「眼鏡は、いらん。早うわしの眼鏡を修理してくれ。」と告げた。

するとXは別のフレームを出してきて「これなら3万円にするからどうですか。」と言った。

Cは「3万円でも高いけんいらん。」と断った。

それでもXは、引き続き勧誘を続けた。

Cはあまりにも熱心に眼鏡を勧められ、また、免許証の更新ができないと困ると思い、眼鏡を買うことにした。

http://www.shikoku.meti.go.jp/soshiki/skh_b6/1_sesaku/120209/120209.pdf

事例4

平成23年7月、午前11時過ぎ頃、突然、同社の女性従業員Yと男性従業員Zが消費者E宅を訪れ、最初にYが、「眼鏡のクラモトです。目の検査をしてみませんか。車の中で視力検査ができますので。」と言った。

この時、Eは「目は悪くありませんし、健康診断で目の検査もしていますので検査は結構です。時間もありませんので。」と断った。

するとYは、「皆さんそうおっしゃるのですが、検査は5分ぐらいで終わりますし、詳しい検査もできますので、してみませんか。」と言った。

Yがあまりにも熱心に言ってくるので、Eは検査だけで5分ぐらいで終わるのならと思い、検査だけすることにした。

EはYに車まで案内されたが、車内に入るまでに、目の検査の結果によって、眼鏡を勧めるようなことの説明は一切なかった。

車はEの自宅の表側の敷地内に駐車していた。

車は白いワンボックスカーで、ボディに同社の社名が書かれていたが、窓には車内側から一部カーテンをしており、車内に入ったことがない者は、外から見ただけでは車内で眼鏡を販売していることは分からなかった。

Eは、車内の最後部座席に座るように言われた。

目の前に検査する測定機があり、Zがその測定機を挟んだ向かい側に座り目の検査をした。

検査の結果、Zは、「乱視になっています。左右の進み方が違いますよ。このままでは進行が止まりませんよ。」等と説明した。

Eは「仕事で作る資料が細かいので少し見えにくいことがある。」等と言うと、Zは、「眼鏡を作りましょう。」と言い出した。

Eは眼鏡を作る気が全くなかったので、「検査するだけと言ったでしょう、眼鏡は必要ありません。」と断ったが、Zは諦めずに、「乱視があるので、眼鏡が必要ですよ。」等と眼鏡の必要性を説明した。

そして、Zは検査用のフレームに見本のレンズを何回か試しては見え具合を聞き、Eが「よく見える感じがします。」と言うと、Zは「これにしま
しょう。」と言った。

Eは最初にフレームだけで20万円近くもするものを勧められたため、「そんな高いものは、いりません。」と言った。

するとZは格安のフレームと中くらいの値段のフレームを出してきて、「Eさんなら、これくらいのものは、いりますよ。」と言って12万円ぐらいする高いフレームを勧めた。

Eが座っていた座席の前のテーブル左横の通路には、折りたたみのカウンターが設置しており、すぐに立ち上がって出られる状態ではなく、狭い車内でしつこく勧誘されているうちに断れなくなり、Zが勧める眼鏡の購入をしぶしぶ承諾した。

Eは同社の従業員から、検査だけなら5分ぐらいで終わると言われて車内に入ったが、検査後、Zから眼鏡を勧められ、高額な眼鏡を契約してしまったことを後悔した。

http://www.shikoku.meti.go.jp/soshiki/skh_b6/1_sesaku/120209/120209.pdf

業務停止命令を受けた理由

(写真2)めがねのクラモトのホームページには、「視力測定車の活躍」と題して、「あなたの快適視力応援します!」、「走るメガネ店として親しまれています」と書かれている。

(写真2)めがねのクラモトのホームページには、「視力測定車の活躍」と題して、「あなたの快適視力応援します!」、「走るメガネ店として親しまれています」と書かれている。

(出典)http://meganenokuramoto.com/business3.html

めがねのクラモトは、特定商取引法に違反しているとして、2月10日(金)から8月9日(木)までの6ヶ月間、訪問販売に関する業務の一部(新規の勧誘、申込の受付及び契約締結)を停止するよう命じられた。

ニュースリリース、および別添の資料によると、経済産業省 四国経済産業局が認定した違反行為、すなわち、めがねのクラモトが業務停止命令を受けた理由となったのは、次の4つとなっている。

勧誘目的不明示(特定商取引法第3条)

めがねのクラモトは、視力測定をおこなう前に勧誘目的、つまり「メガネを販売する」ということを告げなければならなかったにもかかわらず、「目の検査をしてみませんか?」などとだけ告げて、消費者を視力測定車の中に誘い入れたことが、問題とされている。

めがねのクラモトの従業員が、消費者宅を訪問した際に、「目の検査をしてみませんか?」などと、視力検査をおこなうことだけを告げて、視力測定車の中に消費者を誘い入れた。

車内で視力測定を終えたあとではじめて、「メガネを作りましょう」などと、“メガネを販売する”という勧誘目的を告げ、メガネを販売したことが、特定商取引法第3条にある「勧誘目的不明示」にあたるとされた。

再勧誘(特定商取引法第3条の2第2項)

消費者が「めがねは必要ありませんし、いりません」などと言って、メガネを買う意志がないことを示したにもかかわらず、めがねのクラモトは、メガネを買うよう再度すすめたことが、特定商取引法第3条の2第2項にある「再勧誘」にあたるとされた。

公衆の出入りしない場所での勧誘(特定商取引法第6条第4項)

めがねのクラモトは消費者宅を訪問し、「目の検査をしてみませんか?」などとだけ告げて、視力測定車の中に誘い入れた。

視力検査をおこなったあと、そのまま車内、すなわち不特定多数の一般人が自由に出入りしないところで、「メガネを作りましょう」などと、勧誘したことが、特定商取引法第6条第4項にある「公衆の出入りしない場所での勧誘」にあたるとされた。

迷惑勧誘(特定商取引法第7条第4号、省令第7条第1号)

めがねのクラモトは、消費者が何度も断っているにもかかわらず、メガネを買うよう執拗に勧誘を続けていた。

事例にもあるように、「メガネを買わないと帰ってくれない」、あるいは「視力測定車から出してもらえない」と思うくらい、執拗に勧誘を続けるなど、消費者が迷惑を感じるような方法で勧誘していたことが、特定商取引法第7条第4号、省令第7条第1号にある「迷惑勧誘」にあたるとされた。

消費者センターなどにも相談が相次ぐ

(写真3)めがねのクラモト ホームページ(スクリーンショット)

(写真3)めがねのクラモト ホームページ(スクリーンショット)

四国新聞社の報道によると、めがねのクラモトの訪問販売についての相談が、2009年度以降だけで約300件寄せられているという。高松市に支店がある香川県内では、約15件の相談があったという。

また、愛媛新聞社の報道によると、愛媛県消費生活センターや愛媛県内市町へ寄せられた相談は計51件。中南予が中心で、70~90代が8割以上を占めているという。

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